2018年3月24日土曜日

AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR レビュー

ニコン最高画素数(2018年3月現在)のD850には当然大三元ズームレンズまたは高性能単焦点レンズをセットにするのが当たり前と考えられています。

その常識を無視して高倍率便利ズームをセットにしてみました。
・AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR

AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VRです。
おそらくD850とセットにしているのは少数派だと思われるのですが、あえてこのレンズを選んだ経緯をお話しします。


1.導入の経緯
以前、D300にAF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-EDを組み合わせた時に、あまりの便利さに自分の撮影スタイルに革命が起きてしまいました。それは、VR機構で三脚いらず、27mm相当から300mm相当までレンズ交換不要ということで、このレンズを付けっ放しにしておけば、たいていのものは撮れるという体験でした。

次に導入したカメラがD800だったのですが、この時は無難にAF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRと組み合わせました。これはこれで描写性能的にはさほど悪くはなかったのですが、24mmスタートのためか異様に開いた花形フードのデザインがどうしても好きになれず、また望遠端が120mm止まりなので今一つ物足りないことが多かったです。
・D800とAF-S NIKKOR 24-120mm f/4G

そのため、奮発してAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR IIを追加しました。もちろん描写性能は申し分ありませんでした。が、24-120mmと70-200mmをダブルズームとして持ち歩きますかってことです。

・D800とAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II、マンフロットの三脚

お仕事やコンテストに応募するための作品撮りなら少々重くても頑張りますが、ちょっとした撮影の時やレジャーのついでに持っていくようなセットではありません。しかも、こんな重量物を頻繁にレンズ交換などしてられません。

その後、諸事情でD800時代の機材セットは三脚やフィルターを除いてほとんど手放してしまったのですが、今回D850を導入するにあたっては、今までの経験を活かしてレンズシステムはお気軽用と勝負用の2系統に分けることにしました。

もちろん28-300mm f/3.5-5.6Gはお気軽用です。
勝負用は当然、24-70mm f/2.8E+70-200mm f/2.8Eです。資金が無いのでまだ買えませんが。笑
つまり大三元を揃えたあとも無駄にならないレンズを選びたかったといのが正直なところです。

話が長くなりましたが、AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VRのレビューに移りたいと思います。

このレンズの描写性能などの評価は、別の方々がネット上に素敵な作例とともにアップしてあるサイトが多数ありますので、そちらに譲ります。

このブログでは、代表的な焦点距離における画角と開放F値の変化など、別の視点からこのレンズの特徴を探ってみたいと思います。


2.焦点距離指標

・焦点距離指標

ズームリングの指標は「28、35、50、70、105、200、300」となっています。
単焦点レンズのラインナップに存在する85mmと135mmの表記はありません。


3.装着バランス

・D850とAF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR

D850に装着した様子です。

レンズ自体はさほど大きく見えないのではないでしょうか。 しかしそれはD850が大柄なせいで、もっとコンパクトなボディだと見た目のバランスが違った雰囲気になるかと思います。大きさ的には24-120mmとほぼ一緒、長さが1cmほど長い程度です。

フードが深いので24-120mmレンズ付属フードのような広がり感は目立ちません。


4.ズームロック機構

・ズームロック機構

28mm側でズームリングをロックできる機構が付いています。
これをロックしないまま首から下げて歩いていると、レンズ先端の重みでズーム機構が繰り出してしまいます。

そうなってしまうと見た目が恰好悪いだけでなく、繰り出した状態のレンズ部分は衝撃に弱いので、移動中は広角端にしてズームロックをかけておきましょう。
ちなみにロックを外した状態で10分以上歩いてみました。

・ズームロックを外して歩行した後の状態

28mmの位置から少しだけ勝手に繰り出しことが分かりますがこの程度でした。
まだレンズが新しいせいもあるかと思うので、やはり移動中はロックをかけておいた方がよいでしょう。


5.画角の変化
それでは各焦点距離の画角変化を見てみましょう。

28mm
28mm程度だと広角特有の収差は目立ちませんが、実際よりも遠近感が誇張されています。
主要被写体に近寄って撮影アングルを工夫することで、より広角レンズらしさを強調して表現することも可能です。

35mm
人が何気なく見ている視野角に近いと言われており、特に違和感がなく自然な感じの仕上がりになります。
スナップ写真などには適していますが、平凡な写真になりがちなので伝えたいものを明確にする工夫が必要です。

50mm
標準レンズと言われている焦点距離です。
人がぼんやりとではなく、何かをそれなりに意識して見ているときの視野角と同じらしいです。

ファインダーを覗いた時には少し狭く感じるかもしれませんが、仕上がりを見ると「ああ、こんな感じだった」と思うのではないでしょうか。

70mm
Nikonには70mmという単焦点レンズはありませんが、今も昔も標準ズームと望遠ズームの区切りが70mmに設定されているものが多いです。

中望遠的効果を狙うというよりも、50mmからさらに不要な周辺をカットして被写体を強調したい場合に有効なのではないかと思います。

85mm
ズームリングに指標は無いのですが、だいたいの目安はレンズの写真を参照ください。

85mmはポートレートに最適な焦点距離と言われています。
モデルさんと近すぎず遠すぎず丁度よい距離を保つことができ、被写体の歪もなく、 加えて浅めの被写界深度でより被写体を強調できるという特徴がその理由です。

残念ながら、このような高倍率ズームは開放F値が暗めで描写性能も劣るのでポートレートに向いているとは言い難いです。

105mm
マクロレンズにもラインナップがある焦点距離ですが、昆虫などを撮る際に距離を取りやすいためです。
遠くを引き寄せるというよりも少し離れてとるために適した画角と言えそうです。

135mm
作例では分かりにくいのですが、この辺りから望遠的な効果が出始めると言われています。背景との圧縮感や被写界深度の浅さなどの具合なのでしょう。
不要な周辺をカットしやすく、狙いを絞った作品撮りがしやすい画角です。

こちらも指標がないので、だいたいの位置を掲載しておきます。

200mm
たいていの望遠ズームレンズの望遠端に設定されている画角です。
ここまで引き寄せられれば事足りるということでしょうか。

背景の引き寄せ効果は紛れもなく望遠レンズそのものです。

300mmと28mm
超望遠レンズの領域に位置づけられることもある焦点距離です。
200mmまでの望遠レンズとは違った世界を切り出せる画角です。
小学校の運動会で我が子を撮影するには最低300mmは必要と言われることがあります。

比較のためにもう一度28mmの写真を掲載しておきます。
10.7倍のズームなので、それぞれまったく別物の写真ですね。

ついでに、これはお遊びに近いですが300mmの画像をNikon Capture NX-Dのフリークロップ機能でD850のDXクロップサイズと同じ5008×3600に切り取ってみました。

450mm相当
・300mm画像をDXサイズにクロップ

望遠圧縮効果や被写界深度は300mmのままですが、画角が450mm相当となります。

飛行機や野鳥の撮影にはまだまだ足りないのでしょうけど、クロップしてもD850なら1946万画素を確保できるので臨時的であれば使えるのではと思います。


6.開放F値の変化
最後に開放F値の変化について報告します。
作例もありますが、長くなるし作例にあまり意味が無さそうなので、まずはデータだけ掲載しておきます。

作例は後日、続編で公開するかもしれません。

28mm:3.5
35mm:3.8
50mm:4.5
70mm:5.0
85mm:5.0
105mm:5.3
135mm:5.6
200mm:5.6
300mm:5.6

50mmで既に4.5となってしまいます。さらに70mm以降で早くも5.0となり、135mm以降は5.6で変わらずです。
暗いという印象を持たれるかもしれませんが、これだけの高倍率ズームで135mm以降の望遠領域を5.6通しで維持しているのはすごいことだと思います。
お安く仕上げるには6.3辺りまで暗くするのでしょうけど、そこはニコンのこだわりがあったのではないでしょうか。

このレンズの描写性能が広角側で弱く少し絞った方がよいとの意見が多く、一方望遠側は比較的良好な描写性能で開放でも(便利ズームにしては)あまり問題にならないらしいので、開放F値5.6通しのズームレンズだと思って使うことにします。


・AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR レビュー
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